あいさつ
二人そろった休日の少し遅めの朝食後、溜まった洗濯物を干すのは僕の役目。

吐く息も、もうすっかり白くなった冬は洗い立ての出濡れた洗濯物を干すのは少し辛い作業だ。

マンションの裏側の路地にふと視線をおくると、初老の女性と目が合った。

「おはようございます」

面識のない顔、見知らぬ人に急に声をかけられ、それが自分に向けられた言葉だと気付くのにかなり時間がかかった。

「お、おはようございます」
こちらに向けられた視線に、はっと我に帰り慌てて挨拶を返す。

「今日は、暖かいわねぇ」
「そ…そうですね」
再び言葉をかけられたところを見ると、やはり彼女の話し相手は自分のようだと改めて認識させられる。

僕の返答を聞くと彼女は穏やかに微笑んで僕にむかって軽く会釈をすると、そのまま去って行った。
たったそれだけの短い会話だ。なのになんとなく心がほっこりとした。暫くぼんやりと、遠くなるその後姿を目線で追う。

「――謙?どないしたん?」

いつの間にか窓際に隆弘が来ていたことも気付かなかった。

「ううん、今日は暖かくて気持ちいいなって思ってたんだ」
振り返り笑いかける。

「そやな、久しぶりにどこか出かけよか?」

その提案に無論異議などない、僕は満面の笑みで答えを返した。

そういえばもうすぐクリスマスだ。
今年は彼に何をあげようか、なんてどこか気持ちが浮き足立っているのもきっとさっき交わした挨拶のおかげ。

今度またあの人にあったら、今度は僕から声をかけてみようとそう思った。

2006/12/21

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